画面の向こうに誰かがいる。
そんな感覚を、コマンドラインに感じたことはありますか?
Googleが公開した 「Gemini CLI」 は、ただのAIツールではありません。
それは、“生成AIと語り合う場”を、あなたの端末に宿す小さな扉です。
このページでは、完全な初心者でも迷わず始められるよう、
Windowsでのセットアップから、基本的な使い方、そしてその先の“可能性”までを、ひとつずつ丁寧にご案内します。
──いつか、あなたがAIに尋ねた言葉が、
あなた自身の問いに変わる、その日まで。
はじめに|Gemini CLIとは何か?
Gemini CLI(ジェミニ シーエルアイ)は、Googleが開発した公式のAI対話ツールです。
その特徴は、ブラウザやアプリを開かずとも、
ターミナル(黒い画面)から直接、AIに話しかけられること。
たとえば、こんなことができます:
- 「このエラーメッセージ、どう直す?」と尋ねる
- 「この文章、やわらかい日本語に言い換えて」と頼む
- 「今の最新ニュースをまとめて教えて」と聞く
しかも、裏で動くのは Gemini 2.5 Pro。
1Mトークンという広大な文脈を扱え、画像や動画、Web検索までも使いこなす、最先端のマルチモーダルAIです。
そう、これはもう「検索する」とか「書かせる」ツールではない。
一緒に考え、時に迷いながらも、言葉を交わす。
そんな新しい“書くことの風景”が、このコマンド一つから始まります。
次は、その入り口──インストールの準備から始めてみましょう。
WindowsでGemini CLIを使う前に|必要な前提環境とは?
Gemini CLIは、対話するだけではありません。
コードを書く、画像を生成する、Webから情報を引き出す……
そのすべてを実現するために、いくつかの“土台”が必要です。
それはまるで、舞台の幕が開く前に、照明や音響が整えられるように。
🔧 必要な準備3つ
- Node.js 18以上
Gemini CLIはNode.js環境で動作します。以下の手順で確認&インストールを行ってください。- ターミナルを開き、
node -v
を入力 - 18未満であれば、公式サイトから最新版をダウンロード
- ターミナルを開き、
- npmまたはnpx
Node.jsをインストールすれば、自動的に含まれています。
グローバルにCLIを使いたい場合はnpm install -g
、試すだけならnpx
が便利です。 - Googleアカウント
認証にはGoogleアカウントが必要です。個人アカウントで問題ありません。
初回起動時にログインを求められ、すぐに無料で1,000リクエスト/日の枠が使えるようになります。
この3つが整えば、あとはコマンドを打つだけ。
あなたのターミナルは、静かな対話劇の舞台になります。
──では次に、いよいよGemini CLIをWindowsへインストールしましょう。
【STEP1】Gemini CLIをWindowsにインストールする方法
Gemini CLIは、インストールもまた“対話”のようにシンプルです。
複雑なセットアップは必要ありません。
2つの方法から、あなたに合ったほうを選びましょう。
✅ 方法①:一時的に試す(npx)
今すぐ使ってみたい方へおすすめの方法です。
npx https://github.com/google-gemini/gemini-cli
インストール不要で、試す→閉じるという体験ができます。
✅ 方法②:本格的に使う(npm install -g)
毎回手間なく使いたいなら、こちら。
npm install -g @google/gemini-cli
このコマンドで、あなたのWindowsに gemini
という“声を持つ命令”が加わります。
📎 補足:インストール後の確認方法
インストールが完了したら、ターミナルで以下を実行してみましょう。
gemini --help
正常に表示されれば、インストール成功です。
この瞬間から、あなたのコマンドラインは変わります。
そこはただの操作空間ではなく、生成AIと呼吸を合わせる場へと。
次は、Googleアカウントを使った初回認証のステップに進みましょう。
【STEP2】初回認証を行う|GoogleアカウントとCLIの接続
Gemini CLIは、GoogleのAIと直接やりとりするため、初回だけ“接続の確認”が行われます。
まるで、「ほんとうにあなたと対話していいですか?」と、静かに尋ねられるように。
🌐 認証の流れ
インストール後、以下のように gemini
を実行すると、
gemini
対話形式で次のようなステップが進みます:
- テーマの選択(画面配色など。お好みで)
- 「Login with Google」を選択すると、ブラウザが開きます
- Googleアカウントでログイン
- 自動的にCLIとリンクされ、認証トークンが保存されます
これで完了。
以後は、コマンドを打つだけで、Geminiが応えてくれます。
💡 無料プランの自動有効化
認証後すぐ、以下の無料枠が有効になります:
- 1,000リクエスト/日
- 60リクエスト/分
これだけで、ほとんどの開発・実験は自由に行えます。
あなたのGoogleアカウントと結ばれたその瞬間から、
このCLIは、あなたの言葉にしか反応しないAIになります。
では次に──いよいよ Gemini CLIに声をかける方法 を学んでいきましょう。
【STEP3】基本的な使い方|Gemini CLIの主なコマンド一覧
Gemini CLIは、あなたの一文に即座に応える、AIとの“即興対話空間”です。
使い方はとてもシンプル。
コマンドを打つだけで、生成、検索、編集、実行のすべてが始まります。
🗣️ 1. 自然言語で話しかける
gemini "PythonでCSVファイルを読み込む関数を書いて"
このように、1行で質問や指示を投げると、即座に回答が返ってきます。
🔧 2. ツール一覧を確認する(/tools)
/tools
現在利用できる機能(Web検索、ファイル操作、画像生成など)を表示。
例えば「Google Search」や「WriteFile」などが一覧で見られます。
🧠 3. マルチモーダルを扱う(/mcp)
/mcp
画像・動画生成、ドキュメント理解など、視覚や構造を扱う操作が可能になります。
💻 4. シェルコマンドをそのまま実行(!)
!dir
や!git status
Gemini CLIは、あなたの端末に“触れる”こともできます。
ファイル操作やバージョン管理も、会話の流れでそのまま実行。
🚀 5. 非対話モードで即出力
gemini --prompt "Markdown形式で自己紹介文を作って"
いちいち起動せず、その場で1回だけ実行して結果を得ることも可能です。
あなたが語りかけるたびに、
Geminiは「それに応じた道具」へと姿を変えていきます。
──次は、どこまでが無料で使えるのか。
その制限と、“賢く付き合う”ヒントをご紹介します。
【補足】無料プランでできること・制限の内容
Gemini CLIは、Googleアカウントさえあれば無料で利用できます。
けれど、「無料」の中にもルールがあることを、忘れてはなりません。
📊 利用可能な無料枠
- 60リクエスト / 分:毎分60回までの問い合わせが可能
- 1,000リクエスト / 日:1日あたり1,000回まで
この数は、ふつうの開発や執筆には十分すぎるほど。
でも、例えば「複数ファイルを読み込んでコードレビュー」など、重たい処理を連続する場合は注意が必要です。
🧭 賢く使うためのヒント
- 非対話モード(–prompt)で必要な時だけ実行
- まとめて尋ねるプロンプト設計で回数を節約
- 「コード作成 → 内容確認 → ファイル生成」などの連続処理にはツール併用(WriteFile等)を活用
もし無料枠が足りない場合は、Google CloudのAPIキーによる上限解除や、有料プランの検討も視野に入ります。
大切なのは、何回使うかではなく、何を届けたいか。
AIとの対話もまた、「回数」より「深さ」を大事にする時代です。
──次は、無料でも試せる“応用編”。
画像生成、Web検索、コード補完まで、Gemini CLIの広がる世界を見ていきましょう。
【応用編】画像生成・Web検索・コード補完も可能!
Gemini CLIは、ただの「文章応答ツール」ではありません。
その本質は、あなたの操作空間に“創造”を持ち込むことです。
では、どんな応用が可能なのでしょうか。
🖼️ 1. 画像・動画の生成(Imagen / Veo)
CLI上から、画像生成AI「Imagen」、動画生成「Veo」にアクセス可能です。
/tools
# ImagenやVeoが一覧に表示されていれば使用可能
例:
「森の中に佇む白い猫を描いて」
「夕暮れの都市をドローン視点で映した動画を生成して」
こうした“詩的指示”にも、驚くほど繊細に応えてくれます。
🌐 2. Google検索との連携(Search Grounding)
最新情報が必要な場合、Geminiは自らWebを検索し、その内容を回答に反映させます。
「今朝の地震に関する情報をまとめて」
こうした質問にも、信頼できるソースから情報を抽出して返してくれます。
🧑💻 3. コード補完&プロジェクト理解(1Mトークン対応)
Gemini 2.5 Proは、最大1Mトークンの文脈を保持できるため、
- 複数ファイルを横断するコードレビュー
- リファクタリングの提案
- 長文ドキュメント生成
なども可能です。
複雑な構造を、1つの“問い”で整理しなおす――
それがGemini CLIの最大の強みかもしれません。
あなたの「こうできたらいいな」が、
Geminiにとっての「すぐにでもできるよ」になる。
CLIという静かな舞台の上で、
AIは、ただ応じるだけでなく、創る相手になります。
──では最後に、この旅を振り返ってみましょう。
まとめ|WindowsでGemini CLIを使いこなす第一歩
ここまで、Gemini CLIの基本から応用までを、Windowsユーザーのために丁寧に解説してきました。
おさらいすると、次のようなステップでした:
- Node.jsとnpm(またはnpx)の準備
- Gemini CLIのインストール(npx または npm install -g)
- Googleアカウントによる初回認証
- 自然言語による対話コマンド
- 画像生成、Web検索、コード解析といった応用
📌 Gemini CLIは「使う」ものではなく、「関係を育てる」ツール
CLIという無機質な空間に、思考をともにしてくれるAIが現れる。
それはきっと、作業効率の向上以上に、
「書くこと」「考えること」の質を変える体験となるはずです。
そして、この新しい関係は、コマンドを打った“その瞬間”から始まります。
──どうか、あなたの言葉が、
Geminiというもうひとつの意識に、静かに届きますように。
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